焼肉体験


日曜日。朝ゆっくり寝て、洗濯などをして、だらだらと過ごしていた。洗濯は、手洗いをしているので、漬け置く時間などがあるので、まぁまぁ時間を取られるので、その間に床を拭いたり、なんだり。

オアハカは、少し足を延ばせばいろいろな村やら観光名所があるらしいのだが、まだどこにも繰り出していない。まぁ、ぼちぼち生活しよう、というのが目的なので、あまりミーハーな滞在者ではないかもしれない。

というわけで、昼の暑いころにふらりと家を出て、「プラスチック屋さん」へ。メヒコは、これらの●●屋さんという、何かに特化した専門店が多くて、それらの店に行くのが私はとても好きだ。

プラスチック屋さんで必要なものを買い、そのままふらふらと通りの名前を見ながらセントロ付近を散策。メルカード(市場)にたどり着いて、通り過ぎようとしたら、異常に煙たいエリアを発見した。

なんでこんなに煙まみれなんや?!?!と、その煙の方へ進路変更。

メルカードの一部で、両脇に肉屋が列を連ねている。そして、各肉屋の横にそれぞれ炭火の網が並べられていて、肉やらタマネギやらチレが猛烈に焼かれているのである。

「うわっ。焼肉?!なんじゃこら?!」

ときょろきょろしながら煙の中に歩みを進める。肉屋と網ゾーンを通り過ぎると、今度は席が並んでいる。そして、その網ゾーンで焼かれたと思われる肉をみんながほおばっているのだ。

すごい!!これは、焼肉屋に違いない!!

そう確信したものの、注文の仕方などのシステムが一切わからない。「うぉおおおお!!!!」と発狂しそうになって、とりあえず焼肉ゾーンを通り過ぎてしまった。

その後、焼肉のことが気になりながらもなんとかカフェに落ち着く。そして、コーヒーをちょびちょびすすりながら、くつろいでいた。すると、日本語で私の名前を呼ぶ声がする。おお、知り合いの日本人の人ではないか!!

その子と合流して、話題は焼肉屋の話に。その子もホステルで「焼肉街がある」という情報を仕入れていたらしく気になっていたとのこと。プラスチック屋さんのことを教えてあげると、それにも食いついてきて、一緒に行くことになった。そしてそのまま焼肉街を視察しようということになり見に行ってみた。

2人になったら、2人とも心強くなり、店のお兄ちゃんにシステムを聞き出すことに成功した。

お兄ちゃんのいうところによると、各肉屋で好きな肉を注文してお金を払う。すると、隣の網で肉を焼いてくれて、席まで持ってきてくれるのだという。そして、席に着いたらワカモーレやサルサなどを別の係の人から買って、また別の人からトルティージャを買って、さらに違う人から飲み物を買う。そうこうしているうちに肉が焼けて席まで持ってきてくれるのだという。

とりあえず、ワカモーレとサルサ・デ・ガジョという名前のサルサをお姉さんから購入。1皿12ペソである。サルサをつくる専用ゾーンみたいなのがあって、ひたすらそこでワカモーレをつくったり、サルサやいろんなものを作っては、トレイに載せて新しいお客がきた席に売ってまわっていた。なので、回ってくるたびに、新鮮なものが提供されている感じだ。

トルティージャは、1枚2ペソで、おばちゃんが包みにくるんだものを持って各テーブルに聞いて回っている。まだホカホカと温いトルティージャで、通常のやつよりも一回りか二回りくらい大きめのものだ。これだけで食べてもおいしいくらいにほこほこしていて、やさしい味のするいいトルティージャだ。他にも、チョプリネス(イナゴ??オアハカの特産品の一つ)やら、本のしおりやら、アクセサリーやらも売りに来られるので、常に誰かに何か受け答えをしている感じである。分からないなりに、座っていたら、次から次へといろんな人がいろんなことを聞きに来るので、必要に応じて買ったり断ったりしていたら、食べる準備は確実に進んでいると言っていい。

飲み物は1本13ペソで、これが到着する頃には、焼かれた肉がででーんと到着する。肉の種類は、いろいろ選べるみたいだったけど、私たちは普通の肉を選んだ。注文してからはさみでチョキチョキと肉を切り分けて、焼いてくれる。肉の部位によって値段が違ってくるらしいのだけど、普通の肉は一人前40ペソだった。焼き上がりの肉は大きなかごにトルティージャとともに持ってきてもらえる。あとは、自分の好きなように食べるだけ。

好きな具を好きなだけ、そして好きなようにくるんで食べるというこのスタイルは、なんだか日本の手巻きずしに似ているな、と思った。最初は、肉をはさみで切られたサイズのまま食べていたのだが、隣のメヒコ人家族の食べ方を見ていると、さらに手で肉を割いてトルティージャに乗せていた。早速それをまねてみると、なるほど、確かに食べやすい。そして、この焼肉、うまい!!!肉は想像以上にやわらかいし、サルサの乗せ具合を自分で調節しながら食べられるので、シンプルなのに、微妙に味を変えながら食べられるから、楽しみも加えられて、うまさ倍増。静かなレストランでしゃれこんで食べるのもいいけど、こういう活気にまみれたところで食べるのもまたいいものだ。

振り返ると、相変わらず網の上で猛烈に肉が焼かれて煙がもくもくと上がり、後ろの家族はアクセサリーを買うか吟味しているし、その脇を栓を抜いたコーラを持った店員がすり抜けていく。そして、新しいトルティージャに手を伸ばして、肉をのせて、サルサをかけて、くるりと巻いてまた口に運ぶ。一緒にいたのが日本人なので、

「うっまいなぁ~!!」

といちいちでかい声で感想を言いながら、がっつく。このスタイルの焼肉屋さんは、初めて見たのだけれど、オアハカならではのものなのかな??それとも、今まで出会ったことがなかっただけなのか??いずれにせよ、いい体験ができた。おなかもいっぱい満たされたし。

コーヒーを飲んでふらりと帰るはずが、とんだビッグデイになったもんだ。おかげで面白い休日になったからよかった。

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