ロテリア


「ロテリアは、メキシコのビンゴゲームみたいなゲームやねんけど……」

と、今まで何度言ったことだろうか。メヒコバカが高じて、メヒコを知ってもらうためにTシャツをつくるという謎の個人プロジェクトまでしている私である。Tシャツのモチーフにはロテリアを使うことが多いので、冒頭の説明を幾度となくしてきたのだ。

日本では、友だちなどにさんざんメヒコTを宣伝して、挙句の果てにはTシャツ展に参加させてもらえたり、展覧会をさせてもらえたりしたのだから、声を上げて叫ぶということの持つパワーに驚いている。そして、そんなメヒコバカっぷりと一途さ(しつこさともいう)が実を結んで、こうして再びメヒコで暮らせる機会を得ているのだから、ほんま、ラッキーマンやわ、うへへ、と思いながら、ここメヒコにて、もちろんメヒコTを着ているのである。

すると、このTシャツが意外と食いつかれるのだ。「おまえのTシャツ、いいな!!」と言われるので、「うん、ロテリアの絵やで!!自分で作ったTシャツやねん!!」というと、「なんとまぁ~」という感じで関心半分、笑われる。私としては、Tシャツに食いつかれるとは思ってもいなかったので、気づいてもらうたびにうれしい。

そして、そのTシャツプロジェクトにビックチャンスが!!まだ話は成立していないけど、今私の勤め先に来ているアメリカの留学生が「ほしい!!」と言ってくれたのだ。だから、もしこの話がまとまれば、メヒコTは、私が行ったことのない土地に行くことになるかもしれない。やばい。これはうれしすぎる。

私はこの国へ暮らしに来ているものだから、別段張り切って観光に出かけているわけでもなく、おいしいコーヒー屋さんを見つけては、そこでじいっと過ごしたり、ものを作って遊んだりしている。素材屋さん大国のこの国では、こんなに楽しいことはない。日本にいてもどこの街にいてもすることはたぶん変わらない。そんな感じで、自分のペースで暮らす中で自分のしていることを「いいねぇ!!」と食いつかれるのは、やっぱり、うれしい。人間は単純だし、褒められると純粋にうれしいからな。

あと、もう一つ楽しいのは、自分が好きな「メヒコ」を日本人の生徒さんに紹介できるところ。ファンタジー屋さんしかり、手芸屋さんしかり、お菓子の問屋しかり。写真は、今日市場にパペルピカドを一緒に見に行ったときに見つけたどツボな絵の古い古いロテリア。

暮らすということは、派手なことではないけれど、自分の好きな場所を見つける探検のような行為だと思う。だから、私は旅が好きだし、それと同時に、「そこに暮らす」ということに魅かれるのだと思う。

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