紙すき体験


先週の土曜日、なにやら「マーケット」的なものが開催されるというチラシを見つけたから足を運んでみた。てっきり、アート系のクラフト市かと思いきや、メカの手作り市っぽかった。

プログラミングをしたり、パソコンとおもちゃをつないで動く仕掛けになっていたり、素人さと未完成っぽさが漂う感じがしたけど、どれも意欲的で、なによりあそびごころが感じられた。そういうアマチュアさがただよう一角に、少しだけクラフトっぽいブースがあった。

ひとつはフェルトで、もう一つは紙すき。「おおおお!!!」と食いついて、早速近寄ってじろじろと見ていた。そして、人が去っていよいよ私の番。


お兄さんにいろいろ話を聞いたところによると、リサイクルペーパーを原料に、そこへいろいろな自然の素材を混ぜて紙をつくるという手法で作っているらしい。紙の母体、というかおおもとになるのはいらなくなった、いわゆる裏紙。この裏紙を小さくちぎり(写真)、水と混ぜ合わせてミキサーで砕くところからお兄さんの紙づくりは始まる。


そのどろどろの繊維となるものと糊となる液(小麦粉を水で溶かしたもの)を水に溶かし、漉いて新たな紙をつくるのだという。日本でも、工作の紙づくりキットとかあるけれど、それと同じ方法だ。漉くために使う木の枠は、片方に網戸のような格子状の針金がついてある。すくうと、水分はその網目から落ちていき、残った繊維が紙になるというわけだ。網戸の面は、そのまま格子が模様として残る。



お兄さんはその液に、アガベ(リュウゼツラン、テキーラやメスカルの原料)の繊維や、花びらなどの自然のものを入れるのだそう。色を付けるのにも自然の実をすりつぶしたものを使うそうだ。実際に染めた紙を見せてもらったら、きれいな薄いピンク色に染まっていた。写真の手前のやつは土かな?!なんか、茶色く染まった紙もあったけど、それは土を混ぜたのだろうか……??聞きそびれたけど、もし土の色だとしたら、不思議ないい色だったなぁ。



実際に紙すきを体験させてもらって、出来上がった紙は家に持って帰らせてもらった。裏紙が原料なので、出来上がりの紙の色は思ったよりも白い。そして、いろいろな繊維を拾ってそれが模様となって味のある仕上がりになっていた。ただ、分厚さを均等にしようと思ったらこれは技術がいるなぁ。慣れだと思う。私が作ったやつは、でこぼこだった。そして、のりとして小麦粉を使っているので、それが渇くとどうしてもパリッとなり、柔らかい風合いの紙ではない。(そう思ったら、和紙ってすごいな。あの柔らかさ、どうやったら出るんやろうなぁ。)ノートのページにするにはちょっと硬すぎるけど、色とかを工夫すれば表紙とかにすればいいかも。

お兄さんのこの紙は、メスカルのラベルに使われているそうだ。なるほど、この少しでこぼこしたざらついた紙に印刷したのを見たら独特の風合いになってなかなかすてきだ。アガベの繊維も見えたりして、この大地っぽさが製品にとてもあっているなぁ、と思った。


ロボットまつりかと思い、「ば、場違いーー!!」と一瞬焦ったけど、手作り紙すきの技を教えてもらって、自分の紙までつくらせてもらっていい体験になった。やっぱりこういうメヒコの手作りの身近な感じが好きだなぁ。

紙づくりに関しては、サンアグスティンエトラというところでかなり有名な(伝統的な方法で、手間暇をかけて)紙づくりが行われているらしく、めっちゃくちゃ気になっている。

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