SUSHI

私のメヒコの生活は地味の栄華を極めているのだが、その原因はもっぱら一人で楽しんでいる、というところに尽きると思う。それでもまぁ、行きつけのお店ができたり、ちょっとしゃべりに行く先ができたりはしているけど、友だちと出かけるというのをあまりしていなかった。

ものすごく歳の離れた友だちができたので、その子とお茶を飲みに行くことになった。改めて年を聞くと16歳だという。ぎゃーん。自分の年の半分か!!!さすがに驚いたけど、まぁ、友だちに年齢は関係ないので、それもありでしょう。グアダラハラ時代に一番最初に友だちになった子もすごく歳の離れた子だったな、となつかしく思った。私なんかはお茶を飲みながらひたすらだらだら過ごすというのでも苦にならないけど、やはり若い子は（いうてもティーンエイジャー!）、「じゃあそろそろ行く??」と言いがちだ。

しゃべりながら、ぶらぶらと散歩をして、公園で人間観察をして、夕涼みがてらソカロのへんまで歩いて、食べ物の話になった時に、「日本料理屋があるよ。私はそこで寿司を食べたことがある」と教えてくれた。

おもしろいので行ってみよう、ということになり行ってみた。ファストフードとレストランの間くらいのおみせで、カジュアルに日本食を楽しめるところ、という感じだった。名前は、「SUSHIITO」。SUSHI EATなのかスペイン語の小さいものを呼ぶときに～itoとつけるように、かわいい寿司屋さんというイメージでつけられたのか、よくわからないけど、寿司を提供していることは一目瞭然だ。

そんなファンシーさとは裏腹に、机の上に置いてあったランチョンシートと箸入れの白黒の写真を見てびっくりしてしまった。思いっきり「難波」と書いた電信柱と、左端にはたこ焼き屋さんが写った大阪の写真だったのだ。おもしろいーー!!と私の方がきゃっきゃきゃきゃと食いついて、わくわくしながらメニューを受け取ると、「三星食堂」。どこやねーん!!と思いながらじっと写真を見ると、高野山と書かれてある。和歌山か。きっと関西に滞在していたのだろう。……とこの写真が撮られたいきさつを想像してみるけど、でもやっぱりこんな小さな町のメニューに白黒写真で大阪とか和歌山県が使われているだなんて不思議な気分だ。これを見たメヒコの人たちは、「おお～、ハポ～ン、すばらしいな」とかエキゾチックに思うんだろうか。謎だ。

月曜日と木曜日はなんと豪華な寿司ロールのセクションは2x1、つまり2つ頼んでも1つ分の値段、というスペシャルなサービスデイだったらしく、それならばこのセクションから選ぼう!!ということになった。

海外の寿司はほんとうにおもしろい。日本の寿司を想像、あるいは期待してオーダーするとがっくりくることも多々あるけど、「そういうもの」として食べると、おいしいと私は思う。日本にも、外国からやってきたけど日本風にアレンジされている料理がたくさんあるからな。寿司meetsメヒコ。どんなもんか。ウナギの写真に高まる期待。（というのも、このあいだfacebookでウナギの写真をアップしている人がいて、それ以来、ああ、ウナギ、ウナギを食べたいなぁとひそやかに思っていたのだ。）

この写真を見ただけではなんのこっちゃさっぱりわからないので、下に書いてある説明と合わせて検討。相当長い時間かかって選んだのは31番。

ほどなくして写真通りきれいに盛り付けされた31番が目の前に運ばれてきた。中にはエビとアボカドとクリームチーズが入っていて、のりではなくウナギで巻かれているというファンシーな寿司だ。白ゴマも振ってあって、見た目にも美しい。ウナギなのでちゃんと甘いたれがかかっていて、口に運ぶとこれがなかなかおいしいんである。

実はもう一軒日本料理屋に行ったことがあって、そこで食べた焼き飯は胡椒の味しかしなかったという残念具合だったので、この寿司は普通に「おいしい!」と連呼してしまった。

2x1の日だったからなのか、店内は結構にぎわっていてみんな怪しい感じでおはしを使っているのに、おいしそうにがんがん寿司を食べているコントラストが面白くて、なんか一人にやにやして店内を見渡している外国人だったと思う。ごちそうさまでした。