車Tianguis


先日、ようやく「街の外に出る」ことになった。メヒコに来て気がつけばはや半年近くが経っているのに、全く街の外に出ていなかったのだ。街の中ですら、自分が気に入っているところをうろうろ徘徊するという地味な感じで過ごしていたのだ。

家の近所に好きなお店があって、店のおっちゃん、そしてその奥さんに日ごろからお世話になっている。奥さんはフランス人で、おっちゃんはフランスで25年ほど暮らしていたんだそう。自分の国以外のところで暮らした経験からなのか、自分の国(地域)の文化をとても大事にしている印象を受ける。そして、奥さんの方はフランス人から見たメヒコの美しさのようなものを敏感に感じているという感じで、とても素敵なお店を経営している2人なのだ。

いつも気にかけてもらっていてありがたい限りなのだが、その2人が郊外に家を建築中だというのでその建築現場を見に行くことになった。車で遠出は久しぶりだ。(と言っても、そんなに遠くはないけど。)日曜日だったので道は空いていて、全開にした窓から入る風が気持ちいい。

すると、途中やたらと道の両脇に車が所狭しと並んでいるゾーンに突入した。

「これ、車のティアンギスやで」

とおっちゃん。ティアンギスとは、青空市のことだ。オアハカはこのティアンギスの文化が特に残っていて、毎日どこかの街で大きなティアンギスが開催されているのだそう。売っているのは食べ物に始まり、野菜、果物、日用品やがらくた、つまり、なんでもあるのだ。

車が売っているなんて言うのは初めて聞いた。しかも、このティアンギスは車ばかりだそう。毎週日曜日に開催されていて、気に入った車はその場で商談し、商談が成立するとそのまま手続き(登録とか)をしてそのまま乗って帰れるのだそうな。まぁそれは、うそかほんまか怪しいところだけど、いかにもメヒコ的な感じがする。

車で走りながら、何百メートル(あるいは、何キロか続いていたかもしれない)車を物色する。そして、気になったところで車を端に寄せて話を聞くのだろう。ところどころそういう風景も見かけた。

実に様々な車があり、ボチョ(旧型ビートル)もいろんな色が数十メートルごとに売りに出されている。か、かわいいなぁ~、と熱い視線を送っているとその横にドドーンとトラックの頭だけが売られていてぎょっとする。

メヒコにいると、「なんで?」と思ったり尋ねたりするのは時に愚問な気がする。「そこにある、それでいいやんか」というか、なんか、「そこにあるねんもん、それ以上のことはないよ」と受け入れるしかない。そしたらなんかもう面白くなってくる。

それでなのか、居てて飽きないんである。そういう国だ、と車ティアンギスを振り返って改めて思った。

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