死者の日

メヒコで最も知られているお祭りの一つに「死者の日」というのがある。故人がこの世に帰ってくるので盛大に迎えるというお祭りなのだが、日本のお盆と一緒である。しかし、根底にあるアイディアが一緒でも、文化や国が違う渡航も表現の仕方が変わるのかと驚きつつ、興味深いところでもある。


祭壇を設置していろいろな飾りつけやお供え物をするのだが、日本でも仏壇をきれいにしてお供え物をするので本当、よく似ているなぁ、と感心する。祭壇をわざわざ組み立てるところ(日本のひな祭りのひな壇のような骨組みがあるのかと思いきや、箱をひっくり返してその上に布をかぶせるといういかにも簡単なものなので、それにもびっくり。)

10月に入ってからは、徐々に死者の日の片鱗が街のいろいろなところに現れていたけど、今週くらいからぐっとそのムードが高まってきているように感じる。

最近の私のマイブームというか、心安らぐ新アクティビティが版画のワークショップに通うということなのだが、今日はその版画のワークショップのある施設の一角が、祭壇まみれになっていた。

いろいろな人が思い思いに作った祭壇たちは、どれもめっちゃ個性的で故人の写真や、彼らが好きだったもの(飲み物や食べ物)が備えられているので、どういう人だったのかと想像しながら見て歩くととても楽しい。ご先祖様たちがお盆に帰ってくるときのイメージは、魂か、あるいはなんか半透明で死に装束をまとった死んだ頃の姿なのだが、メヒコの故人はこぞって「ガイコツ」。

そして、ガイコツはいつも笑っている。とびきり楽しそうなんである。死んでいるくせにお酒を飲み、歌を歌い、踊る。そこには湿っぽい雰囲気は一切なくて、陽気、の一言に尽きる。



祭壇は、こんな感じで、センパスーチルの花(マリーゴールド)がふんだんに使われる。微妙に違う黄色やオレンジの色が混ざり合ってめちゃくちゃきれい。


亡くなったおじいちゃんおばあちゃんの祭壇だけれど、結婚式の人形が。そしてやっぱり、笑っているんだよなぁ~!!


これは、他のものより少し規模の大きな祭壇。パペルピカド(紙の旗)もついている。夜に通りかかったので、キャンドルもともされていてとてもきれい。


砂で描かれた絵。この何とも言えぬおしりの角度がすばらしい。


そして!!死者の日と言えば私の中では「死者の日パン」を楽しみにしていたのだが、死者の日パンの様子がオアハカはちょいと違うので今日は面食らっています。↑のパンが私の中の死者の日パンのイメージ。パンの上に十字架の飾り付けがしてあって砂糖がまぶしてある、というタイプ。


しかし、オアハカの祭壇で見かける死者の日パンはこんな感じなのだ。なんか、そういえばこのあいだアバストス市場(中央市場)に行ったときに、顔のピックみたいなやつが山積みになってるなぁ、と思っていたのだ。使い方も知らないし、なんか気持ち悪いなぁ、と思っていたのだが、今ようやくその使い方が判明。パ、パンに刺すのか……!!


「なんかすごいな……」、と思っていたけどよく見るとパンが人の形をしている。だから死者の日パンなのか?!


これは、顔がないけど、完全に人間の形をかたどっていると思われるパン。祭壇に飾られているパンは圧倒的にこの「ヒト型パン」で、私が思っていた死者の日パンはどちらかというと少数派。これは調査をしてみなければ、と思い、私の行きつけのパン屋「バンビ」へ。


すると、バンビがえらいことになっていた。店内の約8割が死者の日パン(顔つき)で埋め尽くされていたのだ……!!量、すごい!!!特設台にこの顔つきパンがずらりと並べられ、普段のパンは申し訳なさそうに隅っこに並べられていた。店内はごった返していて、ほぼ全員のお客さんがこの顔つきパンを購入していた。ちなみにこの顔つきパン、パンデジェマといって卵黄がふんだんに使われているパン。ほおばると口の中に卵の甘い感じが広がって、しかもふわふわでとてもおいしい。私はコーヒー等なのでコーヒーと食べるけど、ホットチョコレートと一緒に食べるのが一般的らしい。

バンビの中でも、この顔つきパンが「死者の日パン」として売り出されていて、十字架のパンは「メヒコパン」という名前がついていた。どうやらオアハカではこっちが「死者の日パン」らしい。



アップはこちら。なんともつくりが雑で、お世辞にもかわいいとは言えないパン。ああ。

もう、後半はパンのことばかりになってしまったけど、明日はいよいよ死者の日が始まる。(11月1日に子どもの霊が帰ってきて、11月2日には大人の霊が帰ってくるといわれているのです。)さぁ、人々がどんなふうにお祝いするのか、楽しみ!!

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