これを何と呼ぶかは知らんけど

今日は、私の謎のプロジェクト「豚をめぐる冒険」のことを書こうと思う。

すでに、私の友だちの間では「おなじみ」になった「オアハカにいる豚を探すプロジェクト」。大まかに振り返ると、今年の2月の中旬にオアハカの街なかで豚のステッカーを発見した私。そのステッカーが街のいろいろなところに貼られてあることに気がつき写真を撮り、1日1枚ずつその豚の写真をfacebookとinstagramにアップし始めた。

当初の目的は、「この豚のステッカーをはっている人に出会って、なんでこんなことをしているのかを聴いて、あわよくばステッカーを1枚プレゼントしてもらおう」ということだった。数日続けて写真をアップしていると友だちからは「なんなん、あれ??」と聞かれるようになり、オアハカの友だちからは「おい!あそこに貼ってあるの見つけたけど、もう写真撮った??」と情報をもらえるようになった。日本の友だちからは「昨日写真のアップがなかったから心配した」と言われることもあった。

その後、知らないオアハカ人から豚の集団の情報をもらい、道端で会ったアーティストに彼らの具体的な名前などを教えてもらい、彼らの方から私のfacebookの方にコンタクトを取ってきた。そして、ある日、偶然街で彼らが私を見つけるという、誰が誰を追いかけていたんだかわからないような状態が起こった。ほしいと思っていたステッカーを、トトロにでてくる寛太のように「ん!!」と差し出され、受け取ったのが4月の話。

冒険はそこでは終わらなかった。豚の集団には会えたし、ステッカーももらえたけど街には日々増殖する豚ステッカー。新しいものは撮り続けて、ストックが残っている限り、とりあえず1日1枚はアップしていこうと同じようにして日々過ごしていた。そうこうしているうちに、豚の集団全員と会えるというチャンスが巡り、メンバーと写真を撮り、そして日本向けTシャツを作ってもらうにいたった。

彼らは無作為にステッカーを街に貼りまくり、私はそれをたまたま見つけ、勝手に写真を撮ってアップするというプロジェクトを開始した。私のはじめた豚ではない。でも、友だちの中には豚を心待ちにしている人もいたり、日本から遊びに来てくれた友だちは「あの豚の場所へ案内してよ」とオアハカ豚めぐりツアーを開催したりもした。この間、友だちに「いやー、さっきちょうど豚を見つけてさ、お前の話をしていたところだよ!あそこで見たねんけど、もう見つけた?」と言われ、これは一体なんなんだろう、と思った。

世の中には「引き寄せの法則」というやつがあるらしい。詳しくは知らないが、いいイメージを思い浮かべて成功していく、というようなものだと思う。これは別にその先に何があるとか、ゴールがあるわけではないから、それには当てはまらないかもしれないけど、いろいろな人たち(と言っても、私の周りの人たちだけど)がなぜか豚のことを気にして生活している。不思議な現象だな、と思う。

豚を見つけることはもはや「当たり前」のような、ルーティーンワークのようになりかけていたが、やっぱり驚きは不意にやってくる。(だからこそ、驚きなのだが。)


目の前を豚が通りすぎていって、「え?!え?!ええええ?!」となり、あわてて少年を追いかけてインタビュー。

「この豚どうしたん?」

「どこで見つけたん?」

「誰にもらったん?」

少年は、鼻息の荒いアジア女が豚をめがけて突進してくるのでびっくりしていた。私が豚を引き寄せているのか、豚に私が引き寄せられているのか。「なんでそんなことをしているのだ?」と聞かれたとしても、もはや、「そこに豚があるから」とか名言を吐きそうである。でも実際は、もはやよくわからない。


コメント