ゲラゲッツァグラフィカ


今週末は、「Guelaguetza Gráfica」というイベントに足を運んできた。オアハカで活動するいろいろな版画やグラフィックの工房の多くが一堂に会し、作品の紹介と販売、さらにはワークショップ、オアハカのグラフィック界における歴史やこれからの展望などの講演会なども含まれたかなり充実の内容のイベントだった。版画家の友だちが主催していたので、足を運んでみたのだが、オアハカの版画文化はすごい!!と改めて感じた。

オアハカには版画に携わる人たちが多いのはもちろんだが、活動の場所も身近にある感じがものすごく伝わってきた。ギャラリーや工房が市内に点在していることには、普段から街歩きをしていると気がつくのだが入っていいのかわからないので、知り合いがいないところは入れずにいた。気になっていた近所にある工房も参加していて、見て回っているとどの人も驚くほど気さくで、作品を見せてもらいながら興味深い話をたくさん聞かせてもらったり、「いつでも来ていいよ~」と声をかけてもらったり、なんて懐が深いんだ、オアハカよ!!

日本では、版画はとても身近で小学校の図工、中学校の美術でみんな経験しているはずなのに、大きくなってから続けている人はほとんどいない。(少なくとも私の周りでは、1人はんこ作家の友だちがいるくらい。)日本の方がいい紙があるし、道具も簡単にそろうのに、「版画」は何か特別なもので、「美術」という世界自体もとても敷居が高いような雰囲気だ。でもオアハカにいると、本当は誰でも何でも好きにつくって表現したらいいのだと強く感じる。

美術なんか学校の美術の時間以外で勉強をしたことのない私だけど、「やりやり~」と簡単に誘ってくれて、出来上がれば「ええやん~!!」とめっちゃ褒めてくれるので、豚もおだてりゃ木に登るということで「これはなんだかおもしろい!!」ということになり、このようなイベントや場所があると足を運んでみたくなり、すばらしい作品を見る機会に繋がっている。だから、まずは何かに触れられる環境というのは大切だなぁ、と感じる。そして、このイベントのコンセプトの一つは、「視覚表現(グラフィック)の素晴らしさを世間に広めよう」というものだったので、多くのワークショップは子ども向けで私の隣でスタンプを作っていた小さな女の子も自分が描いた絵がスタンプになって「わぁ!」と目を輝かせていたから、なんていいイベントなんだーーー!!と思った。いきなり美術館に行って、「有名な絵」を見たからと言ってその良さがわかるものではない。好きな作品があって、嫌いな作品があって、それが有名だから好きだとは限らなくて、有名じゃないからすばらしくないというわけでもない。気持ち悪いけど妙に心惹かれる作品があり、美しいけど自分のこころにはズバッと来ないものだってあるのだ。

オアハカにいると「表現する」ということ、あるいは「自分が何者なのか」を考えさせられることがよくある。それは私が外国人というオアハカにとっては外部の人間だからなのかもしれないし、日本という集団の中では自分を押し殺しがちな文化からやって来ているからかもしれない。表現する方法に関しても何だっていいのだと思う。絵でも、写真でも、版画でも、料理でも、文章でも、歌でも、踊りでも本当に何でもいいと思う。アウトプットをしてみてはじめて、自分が何をインプットしたのかを知ることがある。そしてそういうことをしたいなぁ、と思ったら「見る」ということがめっちゃ大切なんだということに最近気がついてきた。だから、いろいろな人の作品を見るのがもっと楽しい。写真でも、版画でも、絵でも、彫刻でも、民芸品でも、刺繍でも、壁画でも、とにかく何でもだ。


「ゲラゲッツァ」とは、サポテコ語で「奉仕、分かち合い」という意味なのだそうだが、このイベントはまさにそのゲラゲッツァの精神を備えていて面白いイベントだったなぁ。



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