年の瀬のアバストス市場

クリスマスも終わったので街は一気にお正月ムード、になるわけがないメヒコでは、相変わらずでかいクリスマスツリーが街のあちらこちらにそびえたままである。ホリデー感がますます加速したオアハカにはたくさんの観光客で街がにぎわっている。人が多いので、それを避けるようにメイン通りから2~3ブロック離れたところをこそこそ歩いている今日この頃である。



しかし、年末になったら一度行っておきたいところがあった。アバストス市場である。アバストス市場とはオアハカ市内一番大きいメルカドでとにかくいろんなものがありカオスな感じのするところである。それゆえいろんな人がいて、治安もよくないといわれていたりなかったり。治安はどんな安全なところでも油断は禁物、しかし悪いと言われているからといってむやみに怖がりすぎるのも違うと思う。物も人も規格外にあふれていて、それに活気が加えられたアバストスは初めて足を踏み入れるとどこに行っていいやら見当がつかず結構カオスである。しかし、私はアバストスに行くのは結構好きである。理由は単純。

おもしろいからである。



年末に行きたかった理由は、「viejo(ビエホ、老人)」人形を見に行きたかったのだ。おととしの年末にアバストス市場に行ったときにその老人人形と出会った。シャツを着せられ老人のお面をかぶっていて、自分の名前を書いたプレートを首から下げているという、まさかの等身大の人形である。その使い道を聞いたら衝撃の答え。

「燃やす」

のだそうだ。村の伝統らしく、見てくれもそしてその用途もなかなかのインパクトである。2年前の年末にアバストス市場を歩いていたらたくさんいたので、それをまた見に行ったのだが、今年は表に出ているのはわずか4体だけだった。大体場所はあの辺だろうと目星をつけていったら、確かにそこにあるにはあった。でも、規模は2年前に見たのよりもはるかに縮小されていてなんだかさみしかった。しかも、写真を撮っていいかとその前で袋を売っていたおばちゃんに聞くと「あかん」というんである。

行った時期が悪かったから売れてしまってもうあまりないのか、それとも伝統が減少してきているのか。わからないけれど、後者じゃないといいなと思った。


この雑雑した活気が好きなのだ。人間の土臭い感じが渦巻く市場。


歩いていて犬の親子を見つけた。犬がやたらいろんなところにいるのはおなじみの風景だが、ついこないだ生まれましてんという子犬を見かけたことはほぼなかったのだが、1匹の母犬に群がる子犬軍団を発見。これが、屋台と屋台との間にわずかにできる隙間に入り込んで授乳しているんだもんな。たくましすぎる。

そして、久しぶりの市場にテンションも上がり調子も乗ってきたのでいろいろうろつていると新しいエリアを発見。


いきなり大量の木材がズーンとそびえた、「木」のコーナー!!「家具」のコーナーがあるのは知っていたけど、その原料が売っているコーナーもあったとは。様々な木が売られていて、そこで削ってくれたりもするらしい。


こんなセクションに来たらいよいよ観光客というか外国人は見かけないけど、それでも「どの木がいるんだ?!」と声をかけられるのでちょっと笑ってしまいそうになる。

いや、どう見ても木買いに来たようには見えへんやろ?!と思うのだが。



薪や炭を売っているところもあった。オアハカでは屋台などで炭火で調理してくれるところもたくさんあるので、意外と生活に根付いた商品である。しかしこんなに大量に山積みになったのを見たのは初めてだったので久しぶりに口をあいたまま何メートルもきょろきょろしながら歩いてしまった。

市場は楽しい。年末の活気というよりも、いつ行っても活気を感じるな、と思ったメヒコの市場であった。

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